水道工事や設備工事では欠かせない材料の一つに、シールテープがあります。
設備屋からすると、シールテープが無かったり、うっかり在庫を切らしてしまうと、仕事にならないこともあるくらいです。例えば、トイレの工事でシールテープが無いと、止水栓の取り付けができず、工事がストップしてしまいますよね。
それほど日常的に使う材料のシールテープ。でも実は職人の中でも、巻き方や巻く回数などかなり個人差があります。
今回はそのシールテープについて語っていきます。
シールテープとは?
そもそもシールテープってなに?という話からしていきます。
簡単に言うと、『オスネジに巻き付てて、水が漏れないようにするテープ状のもの』です。
オスネジって何?というと、水道配管のネジにはオスネジとメスネジがあって、外側にネジが切ってあるものがオスネジ、内側にネジが切ってあるものがメスネジになります。
そのネジとネジの微妙な隙間を埋め、水が漏れないように密着させるのがシールテープの役割です。
ネジの種類について
シールテープはオスネジに巻くものと言いましたが、オスネジすべてに巻いたら良いかというと、そうでもないんです。
配管のネジにはテーパーネジと平行ねじという分類もあります。ややこしいですね。
簡単にまとめると以下になります。
オスネジの種類
- テーパーオスネジ→シールテープ
- 給水栓用ネジ→シールテープ
- 平行オスネジ→パッキン
メスネジの種類
- テーパーメスネジ
- テーパーオスネジ用平行メスネジ
- 平行メスネジ
となります。テーパーというのは、ネジを横から見たときに、先細りになっている形状のものです。
平行オスネジと平行メスネジの接続には、パッキンを使用し、シールテープは使いません。
給水栓用ネジは平行のオスネジですが、接続にはシールテープを使用します。
こいつが話をややこしくしています。全部テーパーか平行の2種類にしたらいいのに、、
万能ホーム水栓や洗濯機用水栓など、器具のネジはこのタイプのネジになっています。
設備職人が実際に現場でやっているシールテープの巻き方
シールテープの巻き方のポイントは5つあります。以下です。
- 持ち方
- 方向
- 位置
- 回数
- なじませる
一つずつ解説します。
シールテープの持ち方
写真のように持ちます。持ち方の関しては見様見真似で問題ないです。
個の持ち方でないと巻けません。間違えるとネジにテンションがかけれず、ゆるゆるになります。
シールテープを巻く方向
ネジは時計回りにねじ込んでいくので、この向きで巻いていきます。
反対周りに巻くと、ねじ込む際、ほどけていく方向に摩擦がかかります。
言葉で表現するのは少し難しいですが、、絶対的にこの向きです。
シールテープを巻く位置
巻き始めの位置は人によります。どちらかというと、ネジの先端から根元に向かって巻いていく方が多い印象です。
ただ、僕的には逆です。
例えば、8回巻く場合。
写真の位置あたりからスタートし、同じ位置で5回ほど巻きます。そこからは、ネジの先端に向かって巻く位置をずらしていきます。
そうするとこのような形になります。
最初の5回でアタリを作ってあげるイメージで、その後の3回でテーパーを作ってアタリに導くようなイメージです。
先端から巻いていき、この形状を作ることもできますが、その場合、1周目より2周目、2周目より3周目が上にくるので、ねじ込むときに引っかかっていくような形になります。
それがどうも気持ち悪いんです。
シールテープなんだからネジとネジの間に入っていかないと意味がないですよね。
シールテープを巻く回数
回数が一番個人差があるかもしれません。
ネットでは、3回程度なんて情報もあったりします。
それで漏れないこともあるかもせれませんが、毎回3回しか巻いていないなら、多分そのうち漏らします。
僕の場合、基本は8回としています。相手がザルボとかの場合は少し緩いので+2~3回。
後はネジ同士の相性を見てその場その場で減らしたり、増やしたりといった感じです。
増やしすぎて、ねじ込んだ時にシールテープがあまりにも捲れてくるときは潔くやり直します。
ちなみに10年この仕事をしていますが、シールテープによる接続部からの水漏れは今のところゼロです。
最後に軽くなじませる
巻き終わったら、軽く指でぐるぐるっとなじませます。
この時、素手で直接やると、危険です。切れます。
必ず、ウエスなどを介してなじませるようにします。
今まで何回切れたかってくらい懲りずに切ってますので、本当に気を付けてください、、
器具の取り付け
シールテープが巻けたらいよいよ器具を取り付けていくわけですが、ここでのポイントは2つです。
- どこまでねじ込むか
- 反対方向に回さないこと
どこまでねじ込むの?
テーパーネジの場合、ネジの径がだんだん太くなっているのでねじ込むほど固くなっていきます。
固さを感じてからどこまで行くかは、正直感覚的なところがあって、なかなか言葉では説明できないのですが、結構固いかな?ってとこまでいって大丈夫です。
緩いよりは固いほうがいいのは間違いないです。
給水栓用ネジをねじ込む場合、少し緩いと感じることがあるかもしれません。
不安な場合は一度取り外して、回数を増やす&先ほど説明したテーパー形状を作ることを意識してみてください。
きっとしっくりくる固さにできるはずです。
反対方向に回さないこと
水栓などを取り付けるとき、最後はゆっくりねじ込んでいきますが、うっかり回しすぎてしまうこともあるかと思います。
その時に絶対にしてはいけないことがあります。
わずかでも反対に回すと、高確率でそこから漏れてきます。
ちょっとぐらい大丈夫だろうと考えず、潔く一度取り外し、シールテープを巻きなおし、再取付してください。時間もそれほどかかりません。
安全第一で行きましょう。
実際に使っているシールテープを紹介
僕が実際に現場で使っているシールテープを紹介します。
スリーボンドのシールテープです。
設備屋になりたてのころからずっと同じものを使っています。
よくなじむので使いやすいです。これしか使ったことない奴がよく言いますよね。
シールテープの巻き方について・まとめ
いかがでしたか?シールテープは設備工事の基本中の基本になります。
でも人によってその巻き方は結構違ってきます。結局は、経験を積んでいくなかで、自分なりの巻き方を、日々修正しながら構築していくものなのかもしれません。
結局は、漏れずに止水され続ければそれが正解です。間違ったやり方はいずれ漏れますから。
実は僕も未だに、同業の職人さんに普段シールテープを何回巻いているかを聞いたりします。
答え合わせというかなんというか、
シールテープ何回巻くか問題は、設備屋界隈の永遠の課題かもしれませんね。。。
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